工場日記

気に入った洋楽の歌詞を和訳しています。
Kalavinka

Just let this happen. We just let this flow right out of our minds. Just relax and let it flow. That easy.

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I Fought the Law : The Crickets



I'm breakin rocks in the hot sun
毎日、岩を砕いてる。照りつける太陽の下で
I fought the law and the law won
俺は法律と闘った。勝ったのは法律だ
I fought the law and the law won

I miss my baby and good fun
寂しいぜ。恋しいあの娘。楽しかったあれこれ
I fought the law and the law won
俺は法律と闘った。勝ったのは法律だ
I fought the law and the law won

I've left my baby and it feels so bad
あの娘を置き去りにしちまった。最悪だ
Guess my race is run *1
人生、終わっちまったかな
Shes the best girl that I ever had
あいつは今までで一番の女だったのにな
I fought the law and the law won
俺は法律と闘った。勝ったのは法律だ
I fought the law and the law won

Robbin people with a zip-gun *2
手作りのちゃちな銃で強盗してたんだよ
I fought the law and the law won
俺は法律と闘った。勝ったのは法律だ
I fought the law and the law won

I needed money cause I had none
金が必要だったんだ。無一文だったからな
I fought the law and the law won
俺は法律と闘った。勝ったのは法律だ
I fought the law and the law won

I've left my baby and it feels so bad
あの娘を置き去りにしちまった。最悪だ
Guess my race is run
俺の人生も終わっちまったかな
Shes the best girl that I've ever had
あいつは今までで最高の女だったのにな
I fought the law and the law won
俺は法律と闘った。勝ったのは法律だ
I fought the law and the law won


備考
  1. race : 競走、競争、進行・運行、経過・人生行路
    His race was run. : 彼の一生は終わった
  2. zip gun : 自家製の雑な作りの銃

 crickets zip gun
 photo by Ґенадій Ржевіч

 クリケッツは1950年代から活動しているアメリカのロックバンドです。バンド創設者の Buddy Holly (1936-59) は1959年3月に飛行機事故で亡くなりましたが、バンド自体はメンバーの入れ替わりはあるものの長らく存続し、現在に至るまで解散、引退等の表明はされていません。この歌は十代の頃からバディ・ホリーと友人であり彼の死後間もなくバンドに参加した Sonny Curtis (1937年生まれ)が作り、同年に発売されています。

 crickets

 この歌はその後数多くのミュージシャンにカバーされており、日本でいちばん有名なのはイギリスのパンクバンド、クラッシュが1979年に発表したバージョンです。歌詞は、順番が一部違うのと、"zip-gun" が "six-gun 6連発のリボルバー拳銃" に代わっているくらいで全体の主旨はほぼ同じだと思います。



 私はクラッシュはほとんど聞いたことがなく、この歌もどこかで聞いたことがあるなあ程度の記憶しかなかったのですが、今回他の歌の翻訳で分からない英語を検索している時にたまたまこの歌がヒットし、改めて歌詞を読みながら聴いたところ、とても気に入ってしまいました。
 この歌をカバーしているのがクラッシュやグリーンデイ、日本ではザ・モッズ、真島昌利などパンク色の強いミュージシャンが多いのは、曲の良さの他にこの独特の歌詞による所が大きいのでしょう。
 一つは冒頭の "breakin rocks" です。本来の意味は懲役刑における鉄道敷設か建設工事か何かの強制労働ですが、70年代のパンクムーブメントにおいては既存のロックを破壊するという暗喩を込めるのにちょうどいい歌詞です。
 そして、もう一つは、こちらの方が重要なのでしょうが、"I fought the law and the law won" という決め台詞です。元の歌詞は、人の金を盗むというちんけな犯罪者の後悔とも愚痴ともとれる、極論すればつまらない、どうでもいい歌詞ではないでしょうか? 社会的に見れば小さな犯罪である強盗行為が「俺は法と闘った」という台詞によって、社会=支配体制と闘うというイメージを抱かせる効果がもたらされています。そして、個人の事柄である犯罪を反体制などの社会思想に取り込む考え方は昔からあります。
 昔、私が生まれた頃、1960年代初頭に "犯罪者同盟" なる組織がありました。安保闘争に敗れた学生運動崩れの面々が「あらゆる犯罪は革命的である」というスローガンの下に出版活動、芸術活動などを行なっていました。レーニンやドストエフスキーにも影響を与えたというロシアの革命家セルゲイ・ネチャーエフの「目的は手段を正当化する」という主張に影響を受けて組織名を付けたそうです。ちなみに、ネチャーエフは組織員の学生を裏切り者として銃殺するなど、日本の連合赤軍事件を思い出させるような、なかなか恐ろしい人物です。この "犯罪者同盟" と似たように、反権威、反体制を謳ったパンクムーブメントが "法律・社会規範と闘い、敗れた" という言葉に共鳴するのは自然なことだろうと思います。
 私はこのような "犯罪→反体制→革命" という考え方には賛同しませんが、それでも、この歌詞にはどこか魅かれます。明るい曲調とは対照的に、この歌詞からは育った環境や当人の性向など諸々の事情により社会に適合できないという切なさを感じます。罪を犯さなければ生きて行けない、他に生きる術を持たない人間の抱く心情に共感し、社会にかろうじて適合しながらもどことなく違和感や疎外感を持っている私は心のどこかで犯罪者や無法者に憧れを抱いているのかもしれません。

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